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自宅の玄関ポーチで段差解消!段差が必要な2つの理由と段差解消の方法を紹介

「昔は自宅の玄関ポーチに段差があるデザインが素敵だと思っていたけれど、最近は上り下りするのが少し億劫に感じてきて……」

自宅の玄関が素敵だと気分が上がりますよね。
玄関前に段差を設けて、素朴さがありつつインテリアになる石の階段を設えたり、ガーデニングをして雰囲気を演出したりして、やってくる方に楽しんでもらいたい。
そんな素敵な思いで玄関前に段差を設けた方も少なくないと思います。

しかし、歳を重ねるごとにその段差に辛さを感じたり、躓いて転んでしまいそうになったりした経験はありませんか。
私たちがライフプランに合わせて変化していくように、自宅の姿も同様に変えていく必要があります。

今回の記事では玄関前の段差がどうして必要なのか説明した後、その段差を解消する方法としてスロープを取り上げていきます。

既存の段差にスロープを設置するにはどのような方法があるのか、また法令に遵守してスロープを設置するにはどのようなことが求められるのかを説明していきます。
最後に、「自宅ではスロープの設置は難しいかも……」と感じる方向けに、スロープに代わる段差の解消法についても提案します。

このような方々向けの内容になっています。

  • 自宅に段差があって、移動が困難に感じている方
  • 年齢に合わせて住環境の整備を検討している方
  • 自宅にスロープを設置しようと考えている方

自宅の玄関前に段差を設ける2つの理由

最初に、玄関前にある段差や階段は玄関ポーチといいます。
玄関ポーチに段差を設ける理由ですが、主に2つあります。

デザインと基礎工事の高さ調整

住むならばデザイン性に優れた家を選びたいという気持ちは誰しもが持つもの。
建築デザインを生業にする方はその想いに答えるべく、玄関前を素敵に演出するデザインを提案してきます。

他方で、デザインに制約をかけてくるのが土地の面積や居住空間を広く取りたいという現実的な視点。
室内空間を広くしてゆったりと生活を送れるようにしつつ、土地の面積の範囲内に家屋の機能全てを集約しなければなりません。

さらに建物を建てる際には、地面よりも高くなるように基礎工事を行います。

基礎工事により生じる段差を解消しつつ、住む方が快適に過ごせる要素を盛り込み、かつ玄関ポーチを素敵に演出するデザインが行われた末に、段差が生まれていきます。

湿気や砂ぼこり、ゴミの侵入防止

風の強い日の後に階段や段差を見ると、隅に砂ぼこりや落ち葉等のゴミが溜まっていませんか。
重量のある砂ぼこりやゴミは風に舞いつつも段差に引っかかり、室内に入り込まずにその場で止まってくれます。

また日本は高温多湿な環境なので、地面からの湿気が多いのですが、この湿気についても段差があることで、段差よりも上に昇ってこないようになります。

室内環境を清潔に保つ仕組みとして、玄関ポーチには段差を利用しています。

玄関ポーチにスロープを取り付けるには?

リフォームして玄関ポーチにスロープを取り付けるには次の3つの方法があります。

  1. 可搬式スロープを購入して設置する。
  2. 建設業者に依頼して、段差や階段をスロープに変えてもらう。
  3. DIYでスロープを作る。

どの方法をとってもスロープを玄関ポーチに設置して、段差のない生活を送れるようになります。
とはいえ、実際に利用する時のことを考慮すると、スロープの勾配(角度)はどの程度が良いか、実際にその角度のスロープを体験して決めることをお勧めします。

角度を数値で聞いてしまうと問題無さそうに感じてしまいますが、スロープの形になってみると、その角度がきつく見えてしまうことも少なくありません。
特に車いすを使用している方や身体的な不自由を抱えている方の場合、スロープの角度によっては利用できないケースもあります。

DIYや可搬式スロープを利用する場合にはあまり気にしませんが、建築基準法やバリアフリー法ではスロープの勾配についての記述があります。

関係する法令勾配(傾斜角)
建築基準法(詳しい内容はこちら8分の1(7.1°)
建築物移動等円滑化基準(詳しい内容はこちら12分の1(4.8°)
建築物移動等円滑化誘導基準(詳しい内容はこちら)15分の1(3.8°)

例えば、建築基準法では1mの段差を乗り越えるのに8mのスロープを準備することが求められています。
バリアフリーの環境にしたいとお考えの場合には、建築物等円純化基準に基づくと1mの段差に対し、12mのスロープが必要になります。

もちろん、スロープが長ければ長いほど踊り場のような休憩スペースが必要になりますので、最終的な距離はより長くなります。

ちなみに車いすの方が自力で生活を送れるようにする為にスロープを設置しようとしている場合、スロープの勾配は約5°と言われていますので、建築物等円純化基準に沿った勾配(12分の1)にするのが良いでしょう。

スロープがダメならば、階段昇降機や段差解消機という選択を

段差や階段の高さに対して、玄関ポーチや玄関アプローチの距離が足りなく、スロープの勾配が解消できない。
そんな悩みを抱えている方は、階段昇降機や段差解消機という福祉用具を検討するのも一つの方法です。

シンテックスの階段昇降機や段差解消機は、高齢者や体に不自由を抱えた方が利用する福祉用具として公益財団法人テクノエイド協会に登録されています。

これら機器は既存家屋を大きくリフォームせずに、既存の階段等を利用して設置できますので、家屋が密集している住宅地や、今の家に思い入れがあり済み続けたい方にはお勧めです。

階段昇降機

既存の階段にレールを設置し、レールに取付けられた椅子に搭乗した方を安全に上階・下階に移動します。

上下階の移動となるとホームエレベーターを思い浮かべる方も少なくないと思いますが、ホームエレベーターは上下階を垂直に繋ぐ空間が必要なので大幅なリフォームをしなければなりません。
対して、階段昇降機は階段に合わせてレールを後付けするだけなのでコストをかけずにバリアフリー化を行えます。

段差解消機

段差のある箇所に機器を設置し、車いす等に搭乗した方を車いすごと持ち上げて、上階・下階に移動します。

段差が高い場合、相応のスロープの長さが求められるので広い敷地が必要になってしまいますが、段差解消機ならば機器が設置できる空間があれば約2mの段差を車いす等に搭乗したまま安定して乗り越えられるようになります。

ライフプランに合わせた「快適さ」の取入れを

段差を解消する方法としてスロープを紹介しました。

玄関ポーチにある段差は、家屋のデザインと機能性、室内を清潔に保つために設けられています。
しかし、住んでいる方があってこその家屋。
現在、または今後のライフプランに合わせた玄関ポーチに変えて快適に過ごせるようにすることも、住んでいる方にとっては重要です。

今回紹介したスロープ、階段昇降機や段差解消機は、そんな快適さを求める1つの手段です。
どのような玄関が自分にとって最適か? を考えながら玄関をマジマジと眺めてみるのも良いかもしれませんね。


なお、この記事にて掲載したスロープの傾斜角およびスロープの距離は、勾配に応じて弊社にて算出した計算値です。
正確な値につきましては関係法案の参照をお願い致します。

また記事の内容は2024年4月時点の情報に基づき、作成されていますが、福祉用具については政治的・社会的事情により変化する場合がありますので、ご理解の上、ご承知おき下さい。