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多様性社会におけるバリアフリー

高齢者や障がい者を取り巻く社会情勢

我が国の65歳以上の高齢者人口は1950年以降、増加の一途をたどってきましたが2023年に3623万人(前年3624万人)となり初めて前年と比べて減少となりました。
一方で総人口に占める高齢者の割合は29.1%となり過去最高になりました。

在宅の身体障がい者は2023年に436万人となり増加の一途をたどっています。
また知的障がい者、精神障がい者を合わせると、単純計算で国民の7.6%が何らかの障がいを持っていることになります。

高齢者も障がい者もそれだけで何らかの介助が必要な訳ではありませんが、多くの方が移動することであったり、見ること聞くことといった認識すること、話すこと伝えことが難しい人がたくさんいます。

我が国において地域福祉の重要性は1970年頃から認識され始め、高齢者や障がい者が暮らしやすい環境の整備が推し進められてきました。

その介あって今日はあらゆる方々が以前と比べて暮らしやすい社会になってきたと感じます。

スーパーやショッピングセンターにある障がい者用駐車場、歩道の点字ブロック、横断歩道の音声案内、多機能トイレ、建物入り口のスロープ、駅のエレベーター、ホームドアなど街に出れば数十年前は無かったような設備が増えてきました。

しかし筆者は「心のバリアフリー」という観点で社会を見るとまだまだ社会は成熟していないと感じています。

心のバリアフリーとは

「心のバリアフリー」とは様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことです(「ユニバーサルデザイン2020 行動計画(2017年2 月ユニバーサルデザイン2020 関係閣僚会議決定)」より)。

具体的な定義文は以下の通りですが、ちょっと難しそうですね。

  1. 障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。
  2. 障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。
  3. 自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。

令和の日本はコロナを経て、急速に価値観は変わっていきつつあるように思います。
物理的には弱者が犠牲となる社会から弱者に対して優しい社会へと変化しつつあります。

しかし心のバリアフリーに関してはまだまだ発展途上であると感じています。
筆者は高齢者や障がいを持った方々だけでは無く、どんな人でも他人の助けを必要とする人々にお互いが助けを差し伸べる社会が健全であると考えています。

自分にできることは何か?

まずは世の中には自分がやりたくてもできなくて困ってしまっている人、何かすることを最初からあきらめてしまっている人がいること知ることがスタートだと思います。

街に出かけたときに、何か困っている人はいないか周囲を見渡してみること、そしてサイレントマジョリティーだからこそ困っていそうな人に声を掛けてあげることが「心のバリアフリー」の第一歩だと思います。

全ての人が平等に参加できる社会へ

多様性社会と言われて久しくなりましたが、一方で一部のSNSなどでは毎日誰かに向けて心無い投稿がされています。

誰もが情報を発信できるようになった現代だからこそ「心のバリアフリー」によって多様な価値観を認識し、多様な特徴を持つ人々が安心して暮らせる、働くことができる、何も諦めずに参加できる社会になるといいですね。